母の元気の源は父の存在だった
夕方は涼しくなってきたので、母を誘ってる庭に出ることにした。
以前は誘っても嫌がっていたのに、今日は私が言い出すのを待っていた。
父が入院してから母は声にハリがなくなり、認知症が進んだようだった。しかし命を取り止め、リハビリを始めていることを告げると、まだ転院も決まっていないのに、父が転院する時に着る服をタンスから引っ張り出し準備を始めた。
再び声に感情が乗り、元気になった。
あいかわらずテレビはみないが、ラジオを聴きたいと言い、自分でラジオを動かしはじめた。
まだ少ないが1人でいる時間を嫌がらなくなった。
まだ、元気なころは凄くしっかりしていて、母のほうが父を引っ張っていっているかのように思っていた。
いわゆる、カカア天下の家庭だと思っていた。でも実は、母は父に頼っていた。
よく働くし、よくしゃべるし、しっかり者だからそんな風に見えていただけだった。
父がリハビリを頑張っていることを知ったは、気力を取り戻した。
立って支えられながら玄関の階段を降りる母、車椅子に座って外の様子を眺める母、力強く話す母。父の存在が、こんなにも母を安定させていることにあらためて気づいた。
あとどのくらいあるのかわからない時間を穏やかに過ごしてほしいと思う。